スクラップ三太夫【ウォーズマン友情出演】打ち切り 酷評の嵐

どうも、画次郎です。

今回はこちら!

SCRAP三太夫 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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ゆでたまご
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SCRAP三太夫という漫画について

書かせてくれ!

もう結論から言いますが

この漫画は、ゆでたまご先生=キン肉マン

きっと面白いはず!と思っている人は読んではいけません。

SCRAP三太夫では、

漫画で成功することの厳しさ・難しさがリアルに描かれすぎです。

キン肉マンで大成功を収めたゆでたまご先生が

キャラメイク・ストーリー構成など

ひたすら失敗を繰り返し、滑りまくる漫画です。

僕は、失敗がダメとは思わない人間です。

漫画家の人が命を削って搾り出してくれた漫画の中に

10作品中の1つが成功する・人気作品になる

そういう現実は画次郎としては、理解しているつもりです。

しかし、人が失敗している様を見るのは、見続けるのは辛いです。

ということで

「SCRAP三太夫」どんな漫画だったのか画次郎解説!

1989年24号〜40号(全17話)週刊少年ジャンプにて連載。

(画次郎は連載時にリアルタイムで読んでました)

「SCRAP三太夫」は、ゆでたまごが「キン肉マン」終了後に挑んだ

ロボット×ギャグ×アクションのジャンプ連載作品です。

ただし結論から言うと

これは 「名作」ではなく「語るべき問題作」 です。

  • 「SCRAP三太夫」ってどんな漫画?
  • どこが面白くて、どこがキツいのか
  • なぜ17週で打ち切りになったのか
  • 今あえて読む価値があるとしたら何か

この辺りを熱く語っていきます。

「SCRAP三太夫」ってどういう背景で描かれた漫画?

「キン肉マン」大ヒット後のゆでたまご先生が、

  • ゆうれい小僧がやってきた!
  • 蹴撃手マモル

と2つの漫画を連載した後に

「もう一度ギャグ漫画をやりたい」という思いで挑んだのが「SCRAP三太夫」です。

ストーリーとして

時代背景は西暦20XX年の近未来。

犯罪が激化し、人間に代わってロボット警官が治安を守る世界で、

粗大ゴミとバケツから作られたダメロボット・三太夫が主人公。

モチーフは当時ブームだった映画「ロボコップ」かと思われます。

ロボット主人公・近未来・警察組織…と、

完全オマージュ(パクリ)の、

ある意味ゆでたまご先生らしい

SFギャグアクションを狙った作品と言えます。

あらすじ・世界観

S級(スクラップ級)ロボット警官の大活躍…のはずが?

舞台は、ロボット警官部隊ROK(Robot Officer Keeper的な組織)が活躍する未来都市。

本来はエリートロボットだけが所属できるはずのROKに、

なぜか 粗大ゴミ+バケツから生まれたポンコツロボ三太夫が配属されてしまいます。

頭にはバケツ

そのバケツには伝説の柔術家・姿サンタローの魂が宿っている

サンタローの奥義と「ボロジャケット」(柔道着)が封印されている

という、ロボット×柔道という無理矢理な設定で、

三太夫は悪党ロボットたちと戦うことになります。

能力的にはS級

ここでのSは「Special」ではなく 「SCRAP(スクラップ)級」の略。

ドジで弱くて見た目も冴えない、だけど

「悪を憎む心だけは誰にも負けない」 ロボットとして描かれます。

方向性としては、

初期「キン肉マン」のダメ超人→少しずつ成長

を、そのままロボット警官版に置き換えたような構図です。

キャラクター|三太夫は意図的にダサいけど、それが裏目に

主人公:SCRAP三太夫

粗大ゴミから組み立てられたロボット警官

頭のバケツに柔術家・姿サンタローの魂が宿る

基本スペックはポンコツ、心だけは熱い

見た目は完全に「ギャグキャラ」寄り

「ダメだけど憎めない主人公」を狙っているのは分かります。

しかし、

  • デザインがあまりにも「機械的で温もりを感じない」
  • ロボット×柔道の組み合わせが、あまりにも不自然
  • 読者が「かっこいい!」と思える瞬間が、ほぼない

という点で、少年漫画の主人公としての

格好良さ、カリスマ性に欠けます。

マイケルロボなど、どこかで見たような仲間たち

作中には、ニューヨーク出身のエリートロボット マイケルロボ なども登場します。

彼は優秀なA級ロボットでありながらプライドが高く融通が利かないタイプ。

最初は三太夫を見下しているものの、

三太夫の真っ直ぐさに心を動かされ、仲間として共に戦うようになります。

この展開、

「テリーマンがキン肉マンの仲間になる流れ」にそっくりなんですよね。

キャラ同士の関係性や成長の描き方が、

どうしても「キン肉マン」の焼き回しに見えてしまうのは、大きなマイナスでした。

作風・ギャグ・バトル「ゆでイズム」が空回りしてしまった作品

ギャグの多くが「下ネタ・ウ◯コ系」に偏りすぎ

「SCRAP三太夫」の感想・レビューでよく書かれているのが、

ギャグが下品すぎてキツいという点です。

ウ◯コマシンガン

ジェット◯便

といった、名前を聞いただけで

顔をしかめてしまうネタが頻出。

ゆでたまごらしいぶっ飛んだ発想ではあるものの、

子ども向けのつもりで振り切った結果、多くの読者がドン引き

という残念な状態になっていました。

もちろん、クレヨンしんちゃんのように「下品なギャグで成功した作品」も世の中に存在します。

しかし、「SCRAP三太夫」の場合は、

  • キャラ設定
  • 主人公の成長のワクワク感
  • ストーリーの引き

の土台が弱い状態でそれをやってしまっているため、

ただの苦しい悪ノリに見えてしまう場面が目立ちます。

一方で、

三太夫がメモや写真を「食べる」ことで情報をインプットする描写

など、昭和ギャグ的なアイデアにはクスッとできるものもあり、

「全部が全部ダメ」というわけでもありません。

バトル路線への切り替えも、焼け石に水

序盤は完全なギャグ路線でしたが、

中盤以降はロボット同士のバトル色を強めて巻き返しを図ります。

しかし、

ここでも展開そのものが「キン肉マン」初期の焼き回しに見える

三太夫の見た目と設定上、バトルで燃える要素が薄い

必殺技も柔道技なので、なんか地味に感じてしまう

という理由から、

「キン肉マンの劣化コピー」感を払拭できないまま打ち切りへ。

打ち切りの背景と「伝説の最終回」ウォーズマン登場回

「SCRAP三太夫」は、ジャンプ掲載時、

第1話こそアンケート2位を取る好スタートを切りました。

しかし、2話目以降は人気が急降下。

同時期に「CYBORGじいちゃんG」などのロボット系・ギャグ系作品が人気を集めていた背景もあり、

類似ジャンルの中で埋もれていきます。

結果、全17週ほどで打ち切り。

ゆでたまご作品の中でも最短クラスの連載となりました。

キン肉マンのウォーズマンが乱入する、問題の最終2話

そのまま静かに終わる…かと思いきや、

ゆでたまごは「ただ打ち切られるのは悔しい」と動きます。

なんと、

三太夫の時代は『キン肉マン』の未来である

という設定を突然ぶち込み、

最終回直前のエピソードにウォーズマンをゲスト登場させたのです。

そしてその2話だけは、多くの読者に読まれる事になったそうです。

過去の栄光(キン肉マン)にすがったように見える

三太夫自身ではなく、ウォーズマンが敵を倒して終了

「結局、三太夫は何だったのか…」

という置き去り感

という批判も多く、現在でも

「ジャンプ打ち切り漫画史に残る賛否両論の最終回」として語られています。

良かった点・微妙だった点を整理してみる

良かった点

ゆでたまご先生らしいロボット×柔道という柔軟な(無茶な)発想

粗大ゴミ+バケツという、ある意味忘れられない主人公デザイン

メモを食べて学習するなど、昭和ギャグ的なアイデア

ウォーズマン登場回のインパクト(ある意味、伝説となっている)

微妙だった点

主人公:三太夫のデザインに「かっこよさ」がなく、感情移入しづらい。

「キン肉マン」の成長物語を焼き回ししてる感が多く、またこのパターンかとなる。

下ネタ・うんこ系ギャグが多すぎて寒い場面が目立つ

バトルに移行しても、設定と画面の迫力が噛み合わず盛り上がりづらい

最終的に「ウォーズマン頼み」で終わってしまう構成

「SCRAP三太夫」は今読む価値があるのか?

と言われますと

「名作だから絶対読むべき!」 と言うつもりはまったくありません。

むしろ作品単体の完成度だけで見れば、

ゆでたまご先生のスランプと迷走がそのまま形になった、厳しい一作

というのが正直な感想です。

ただし

80年代〜90年代ジャンプの「打ち切り漫画史」を追いたい人

ゆでたまご作品(特にキン肉マン)が大好きで、作者の試行錯誤も含めて味わいたい人

ウォーズマンの「その後」がどんな形で描かれたか気になる人

こういう人にとっては、「一度は触れておいて損はない作品」でもあります。

特に

「ジャンプ 打ち切り漫画」

「SCRAP三太夫 打ち切り理由」

「ゆでたまご 低迷期」

といったキーワードで情報を探している人には、

まさに「教科書的な一例」として読む価値があるでしょう。

まとめ

「SCRAP三太夫」は「面白い作品」ではなく「語るべき作品」

面白さで語り継がれる漫画ではなく、

ジャンプとゆでたまご先生の歴史を語るうえで外せない一作です。

ゆでイズムが通用しなくなり始めたタイミング

打ち切り漫画がどんな最終回を迎えるのか

人気作家でも「焼き回し」では生き残れないという現実

これらを教えてくれる、ある意味で教材のような作品。

「SCRAP三太夫 おすすめ?」と聞かれたら、

「面白さではおすすめしないけれど、ジャンプ史が好きなら一度見ておくべき」

と答えるのが、いちばんしっくりくると感じています。

SCRAP三太夫 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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